最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)47号 決定
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人中西政樹の上告趣意は、単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、原判決の控訴趣意第一点についての判示は正当である。製造業者が物品税法八条の申告をしたときは、税務官署は、国税徴収法六条の規定により、納税人に対し、通常、申告にかかる納金額及び物品税法一〇条所定の納期日すなわち第二種及び第三種の物品にあっては毎月分を翌々月末日と指定して告知するものであるから、かかる納期日に告知にかかる納金額だけを納めただけで本来納入すべき税金額を納めなかったときは、その納めなかった分の逋脱罪は、かかる納期日の徒過により既遂になるものと解するのが相当である。)
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 入江俊郎)